文部科学省による統計調査に対する回答内容の誤りについて
令和4年5月30日に茨城大学教育学部から文部科学省へ提出した「令和3年度児童生徒の問題行動?不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の回答内容のうち、教育学部附属小学校に係る回答データに誤りがあったことが判明しました。
この誤りは、附属小学校におけるいじめ重大事態とその対応に係る法人内での事実確認の過程で判明したもので、当法人から文部科学省に対し、令和6年6月28日に修正の申し入れを行いました。
本調査は、生徒指導上の諸課題の現状を把握することにより、今後の施策に資するために行われているものであり、そのような調査において誤った回答をしていたことにつきまして、社会の皆様に深くお詫び申し上げます。
1.回答に誤りがあった調査
文部科学省「令和3年度児童生徒の問題行動?不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」
(以下、「令和3年度調査」)
上記の調査については、附属小学校?附属中学校?附属特別支援学校の3校分の回答内容をまとめて、令和4年5月30日に教育学部から文部科学省へ提出していました。
このうち、附属小学校に関する回答データに誤りがあったものです。
2.誤っていた箇所と修正内容及び経緯
まず、本調査の「11.いじめ防止対策推進法に関して (1)いじめ防止対策推進法第28条第1項に規定する『重大事態』について」という項目中、「法第28条第1項第2号(※相当の期間の欠席)に規定する『重大事態』」として報告していた事案につきまして、「調査を行うための組織が第三者のみで構成されている件数」に計上をしていましたが、それは誤りでした。本調査回答時点では、当該事案に関して、第三者のみで構成された組織による調査は行われていませんでした。
当初の回答案をとりまとめ、入力を担当した職員においては、本事案において第三者のみで構成された組織による調査が行われていないことは認識していたものの、データを誤って入力してしまっていました。当法人内の調査では、この誤りは意図的なものではなく、事務作業上のミスであったと認識しておりますが、今後、当該事案に係り昨年度より設置されている第三者調査委員会において、この件についても明らかにされるものと考えています。
加えて、上記の当該事案については、令和5年2月16日(令和4年度)に文部科学省に重大事態報告を行ったものであり、その日が基準日となることから、令和4年度調査に計上すべきものであり、令和3年度調査に計上すべきではなかったことが判明しました。これは回答者が、本項目について、事態発生時の年度を基準に回答するものと誤認していたことによる誤りであり、提出に向けた決裁のプロセスでも発見?修正することができていませんでした。
なお、令和4年度調査にあたっては、当該事案を、令和4年度中に文部科学省に報告した重大事態として、「法第28条第1項に規定する『重大事態』の調査主体」という項目においては、「調査主体を検討中の件数(うち、法第28条第1項第2号に規定する「重大事態」の発生件数)」に計上しています。
3.誤りの判明の経緯とその後の対応
これらの誤りについては、教育学部附属小学校で発生したいじめ重大事態の文部科学省への報告遅延等の問題を踏まえ、本法人で関係者へのヒアリングや各種資料の検証等による事実確認を進める中で判明したものです。
本調査における誤りについては、令和5年4月18日、当法人から文部科学省に対して報告しました。その後、速やかに誤りの修正の申し入れを行う予定でしたが、その時点で文部科学省において本調査に係る全国的な検証?調査を予定していたことから、修正の申し入れを留保していました。また、その後も文部科学省へ相談する中で、当該年度以外の調査回答内容を含め、全体を再精査するよう指示を受けたことなどから対応に時間を要し、令和6年6月28日に修正の申し入れを行いました。
学長によるコメント
本調査は、生徒指導上の諸課題の現状を把握することにより、今後の施策の推進に資するために行われているものであり、そのような調査において誤った回答をしていたことにつきまして、社会の皆様に深くお詫び申し上げます。
特に、重大事態に係る第三者調査委員会の設置について、設置していないにも関わらず設置したものとして誤った回答をしていたことは、関係の皆様の信頼を大きく損なうものであり、深刻に受け止めています。
これらの誤りについて、附属小学校及び教育学部の決裁のプロセスにおいて、エビデンス資料に基づいた確認により発見、修正ができていなかったことについては、ガバナンス上の大きな瑕疵があったと言わざるを得ません。
当該事案に関しては、現在、第三者調査委員会を設置して、これらのガバナンス面の課題も含めた調査?検証が行われているところです。今回の事態を受けて、本調査については学長までの決裁を経て提出する形に改めるなど、チェック体制を強化しました。引き続き、当法人としてガバナンス強化を進め、社会の皆様からの信頼の回復に努めてまいります。
国立大学法人茨城大学
学長 太田寛行